魚の雑学     クサフグ
 
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クサフグ  
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2012/5/8 うみかせ公園
電車でGo”東京湾釣り日記より
<名前の由来>

「フグ」はフグ科の魚120種の総称です。
平安時代には「フク」と呼ばれていたようで、海底で砂を吹く性質があるため、「吹く(ふく)」という説と、「膨れる(ふくれる)」魚だからから「フク」と言う名前がついたといいう説があります。
江戸時代中頃から関東では「フグ」と呼ばれるようになったが、下関や中国地方に一部ではいまでも「フク」と呼んでいます。
また、フグのことを「鉄砲」ということもありますが、これは「アタれば命を落とす」からだそうでです。

漢字では「河豚」と書きます。
これは中国名ですが、中国では揚子江や黄河など、海よりも河に生息するフグが一般には知られていたようです。
そして、豚というのは、顔が豚に似ているからだという説と、釣り上げた時に
威嚇のためにブーブーと鳴き声をあげるので豚と呼ばれるようになったという説とがあります。
いずれにしても、フグは中国では河の豚だったようです。

そして、「クサフグ」は濃い緑の草の色をしているところから付けられた名前です。

<クサフグは食べられるか?>

食用とされているのは「トラフグ」が多いようですが、東京都市場衛生検査所の「食用のふぐの種類とその可食部位」を見ると、くさふぐもちゃんと食用ふぐの仲間に入っていてます。
とらふぐは、筋肉、皮、精巣を食べることが出来るのに対して、くさふぐは筋肉だけしか食べられません。
なお、これは「ふぐ調理師の免許を持った人が捌いたもの」ということであり、免許を持たない素人の釣り人が捌いて食べることは非常に危険です。
有資格者が捌いたものは、刺身や味噌汁、鍋物などに利用され、淡白で美味しいものとされていますが、肉にも弱い毒があるので、釣りなどで獲れても家庭での調理は避けましょう。

yahooの知恵袋に、「クサフグは食べられますか?という質問がありました。
これに対して、とても面白い回答記事が載っていました。
こちらをご覧ください。

 
<クサフグの生態>

くさふぐは青森辺りから南の日本沿岸に分布している小型のフグで、朝鮮半島の西部や南部、台湾海峡からトンキン湾にかけての中国沿岸やベトナム中部辺りにかけても分布していて、東シナ海の一部でも見られます。
腹びれはなく、体色は背部が灰色のほか、名前のように緑色や濃緑色などをしています。
腹部は淡く、体側にははっきりとした小さな白い斑が散在し、体の背面と腹面には小さな棘が密生している。
国内の沿岸や内湾に普通に生息し、ゴカイ類や小型の甲殻類、軟体動物など、様々なものを食べます。
砂底や砂泥底に多く見られ、砂の中によく潜りこむことから、別名「スナフグ」などとも呼ばれています。
クサフグは淡水が混ざる汽水域などでも見られるが、希に河川の中流域まで上ってくることがあります。
胸びれやしりびれなどを使って泳ぐが、泳ぎはうまくない。

<クサフグの毒>

◍ フグの毒はテトロドトキシン
クサフグの肝臓や卵巣には強い毒があり、腸や皮膚などにも毒をもってり、筋肉のも弱い毒があると言われています。
クサフグが持つ毒は他のフグと同じテトロドトキシン(TTX)です。

◍ 生まれたばかりのフグは毒が無い!
テトロドトキシンという毒は、クサフグが体内で合成したものではなく、海中に存在する細菌が生成したものです。
それをプランクトンた食べ、そのプランクトンを他の生物が食べ、それをフグが食べるという経過をたどって、この毒がフグの体内に凝縮されて蓄積するのです。

◍ テトロドトキシンの毒性は青酸カリの1000倍
1~2mgで成人が死ぬというほどの猛毒で、しかも熱、酸、アルカリにも強く300度以上の高熱で加熱しても毒性はなくなりません。
クサフグに含まれるテトロドトキシンの量は他のフグよりは少なく、大人だと1匹位食べても死ぬことは無さそうですが、子供が食べると危険です。
詳しくは次のサイトをご覧ください。
クサフグに含まれるテトロドトキシン

<陸に上がって産卵するクサフグ>

 

クサフグは晩春から夏にかけて繁殖期を迎えます。
産卵行動はほかの魚と比べてかなり変わっており、大潮時に波打ち際に集団で集まって産卵します。
このため、クサフグの産卵の見学会があちこちで行われているようです。

◍産卵は大潮の夜、まずオスが偵察に来る

クサフグは大潮の夜に、沿岸部に大きな群れになって押し寄せて産卵産卵します。
まず数匹のオスが先に到着して様子を見ます。
このとき人の気配など危険を感じると産卵を止めてまいます。
このあと、数百匹から多い時には数万匹ものクサフグの大群が押しよせてきます。
◍放卵と放精で海が真っ白に濁る

上げ潮を利用して、波打ち際ぎりぎりのところませきて、砂と砂利が混ざったような礫底で、雌が産卵した後、雄が一斉に放精し、産卵活動は1時間程も続きます。
この産卵活動は大群でなされるため、放卵、放精で波打ち際が白く濁り、あたりは生臭くなります。
産卵を終えたフグは、波打ち際の砂地でしばらくバタバタしていて、引き潮を利用して海に戻ります。

◍何故、浪打際で産卵するのか?
浪打ち際の浅い砂の上や砂利の間などに産卵するのは、海中に比べて受精率が高くなり、また卵を他の魚に食べられることも少ないので、孵化する率が高くなるためだと言われています。
子孫を残すための涙ぐましい努力のようです。

◍クサフグの集団産卵を見る時の注意
 ・産卵場所となる波打ち際には、近づかないこと。
 ・出来る限り静かな環境で産卵できるように、大声を出したり騒(さわ)いだりしないこと。
 ・ふざけて石や物を投げつけないこと。
 ・写真やビデオに撮るときは、フラッシュを使用しないこと。

クサフグの産卵の動画

↑文を読むのが面倒な人は飛ばして、ここだけでも見てください。
子孫を残すための必死の様子は感動ものです。
音声による説明があります。
                
<フグ食の歴史>

各地の貝塚から他の魚と共にふぐの骨が出土していることから、原始時代から食されていたようです。

◍ フグ禁止令

豊臣秀吉が、朝鮮に出兵するのに、途中立ち寄った下関辺りで、家来がフグを食べたため、たくさん死んでしまいました。
それで、秀吉は家来にふぐを食べないよう、禁止令を出しました。
その後、江戸時代もずっと禁止されていました。
毛利藩などは、ふぐを食べると、お家断絶、などというような厳しい掟がありました。
しかし、庶民にはそんな規制もなく、食していましたが、中毒死は随分あったことと思われます。
明治時代に入ってから「河豚食うものは拘置科料に処する」という法律ができて、全国民にふぐ食を禁じました。

◍伊藤博文がフグ解禁
初代総理大臣の伊藤博文公が、下関へ立ち寄った時に、あいにくお出しする魚がなくて、仕方なく、ときの女将がお仕置きを覚悟の上で、ふぐの料理を出しました。
ところが、伊藤博文公はこのふぐの料理に、いたく感激してそれから、山口県のふぐ食が解禁されました。
その後各県で基準を定めてフグ食を解禁するようになりましたが、昭和22年、食品衛生法が制定され全国一律にフグ食の基準が定められて、さらに、昭和58年にはふぐの可食部を決め、内臓および肝臓の販売・供食を禁ずる法律ができました。

<フグのことわざ>

◍ 河豚は喰いたし命は惜しい
「河豚料理は、おいしいから食べたいが、中毒の危険があるから食べるのをためらう」ということから、 「快楽は得たいけれど、あとのたたりがこわくてためらう」という意味。

◍ 河豚食う馬鹿喰わぬ馬鹿
ふぐはうまい魚だが猛毒がある。
しかしいちがいに恐れて、こんなにうまいもののあることを知らないで過ごすのだからやはり馬鹿である。

◍ 河豚にもあたれば鯛にもあたる
どこでわざわいが起こるかわからないということ。運が悪いときは何を食べても害になることがある。

<松尾芭蕉と河豚>

松尾芭蕉は始めのうちは、ふぐを食べなかったようです。

河豚汁や鯛もあるのに無分別  芭蕉
(鯛もあるのに河豚汁を食べるとは無分別な奴だ)

しかし食べてみたい誘惑には勝てずに、ついに食べてしまったようです。

あら何ともなやきのふは過ぎてふくと汁 芭蕉
(あら、何ともないや 昨日河豚汁を食べたんだが・・・) 

            
                         
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